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ハワイツアー2年ぶり再開、日本人観光客に期待する現地の声

ハワイツアー2年ぶり再開、日本人観光客に期待する現地の声

ハワイ観光局公式ツイッターより

間近に迫ったゴールデンウイーク(GW)を前に、JTBやエイチ・アイ・エス(HIS)などが日本から米ハワイへのツアー販売を約2年ぶりに再開した。日本人にとって最も身近な海外観光地の一つであるハワイだが、2021年の日本人渡航者数はわずか2万4000人。それだけに迎え入れる現地ハワイ側でも、日本人観光客の復活に期待する声は大きい。(編集委員・小川淳)

「お客さまから各店舗からの問い合わせが徐々に増えている」。5月1日出発分から販売を開始したHISでは、2年ぶりのツアー再開に手応えを感じている。また、JTBも4月28日出発分から販売を始めた。

ただ、GW直前の販売開始ということもあり、旅行商品自体の数は多くはなく、「まずは安心安全なツアーとしてお客さまに楽しんでいただければ」(HIS)と期待している。コロナ禍で旅行需要が大幅に落ち込んだ結果、旅行会社や航空会社は業績悪化に苦しんでおり、夏の本格的な観光シーズンの到来を前に、旅行機運を盛り上げていきたいという狙いもある。

一方、ハワイ側としても日本人観光客復活に期待している。4月上旬にハワイに行ってきたばかりだというハワイ州観光局日本支局の寺本竜太営業部長は、「ハワイにとって日本人観光客は特別な存在。来島をみな心待ちにしている」と話す。

新型コロナウイルスの感染状況については「現地では3月末にマスク着用の義務付けがなくなった。マナーとして屋内で着用する人はいるが、日本とは明らかに雰囲気が違う」(寺本営業部長)と明かす。離島ということやワクチン接種が進んだ結果、新規感染者数も落ち着いており、「ハワイはアラスカと並んで、米国で感染者数が少ない」(同)。

日本からハワイへの渡航者は毎年150万人前後だったが、コロナ禍で激減しており、観光ツアーの中止もあって20年は28万9000人、21年は2万4000人にとどまった。一方で、ハワイは米本土からの観光客でにぎわっており、「現地のホテルの稼働率は8割くらい」(同)だという。海外からの観光客は大幅に減ったものの、その分を本土からの観光客で賄っているようだ。

とはいえ、日本人観光客は現地での1人当たりの消費額が本土の人より多いほか、「日本人が滞在した後の部屋はきれいで、掃除が早く終わる」(同)などマナーの高さや他者への配慮など、「同じ島国同士ということもあり、ホテルや飲食店関係者だけでなく、親近感を抱く人は多い」(同)。

円安や燃料費高騰に伴う燃油サーチャージの上昇などが海外旅行にとってマイナス要因となるものの、ウクライナ情勢の影響でロシア上空を通過できずに欧州便の飛行時間が増加したことは、ハワイにとってはプラス要因ともいえる。

ハワイ州観光局では、日本旅行業協会などと歩調を合わせ、夏場に向けて旅行機運の醸成に努めていく。

日刊工業新聞2022年4月25日

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