コロナ禍で大打撃の観光関連産業、「統計」で見る逆風と追い風
経済産業省で公表している加工統計である第3次産業活動指数には、様々な関連産業の内訳系列を再編集し、参考系列として公表していることをご存じだろうか。
今回は、そんな参考系列の中から、観光関連産業について紹介する。
GO TO トラベルにより一時的に持ち直すも低迷が続く観光関連産業
コロナ禍により大きなダメージを受けている観光業。その第3次産業活動指数では、観光に関係すると思われる様々な産業を再編集し、観光関連産業として公表している。今回はその中でもウエイトの大きい「鉄道旅客運送業」「道路旅客運送業」「宿泊業」「旅行業」の動向も併せて見てみたいと思う。
観光関連産業は、日本でコロナウイルスによる影響が出始めた2020年2月頃から低下し、5月を底に回復傾向に入る。
さらに7月22日から始まったGO TO トラベルが追い風となり、回復傾向は続いた。しかし8月の第2波の影響による一時的な停滞や年末の第3波、GO TO トラベルの一時停止を受け、再び低下・停滞傾向となっている。
特に、旅行業は大きく落ち込んだ後、回復できずに低迷していることがわかる。
落ち込みの大きい旅行業に比べ、鉄道旅客運送業や道路旅客運送業に大きな落ち込みは見られない。これは、通勤・通学による鉄道・バスの利用や密を避けるためにタクシーなどの自動車を利用しているためだろう
観光関連産業に大きな影響を与えているのは、やはり「あの業種」
次に、季節調整済の観光関連産業を前月と比較し、その増減について、どの様な業種が与えた影響が大きいかを分析した影響度合いを見る。ただし、観光関連産業全体の前月比の増減と合わせるため、主要な4業種と観光関連産業との差分を「その他」としている。
感染症の影響が徐々に大きくなり始めた2020年の3月4月や回復の始まった6月では、鉄道旅客運送業が観光関連産業に一番影響を与えている業種だった。
しかし、その他の多くの月で宿泊業が一番影響を与えている業種となっている。
観光関連産業の回復には宿泊業、さらには、上述のグラフで低迷が続いている旅行業が大きく関わっているのではないだろうか。