デンソーが供給網強靱化へ一手、新システムの全容
デンソーは2022年度内にも自社と取引先をつなぐ在庫管理システムを導入する。グローバルの1次取引先までが対象で、有事に備え、在庫量などの情報を可視化する狙いだ。自動車業界では世界的な半導体不足などで、生産停止が相次いでいる。デンソーは調達資材の管理を従来の生産地から在庫にまで広げ、一層のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化を図る。
開発中のシステムは、火災や地震といった生産リスクの発生を想定した在庫の量や、在庫が枯渇する時期などを見える化する。自社とグローバルの1次取引先に導入する計画で、サプライチェーンをつないで調達部品の逼迫(ひっぱく)に対応する。足元の情勢も踏まえ、早期にシステムを導入して運用しながら改良していく。
21年以降、自動車各社は半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大に伴う取引先の稼働停止、自然災害など複数の要因で断続的に生産を停止。複合的なリスクを想定したサプライチェーンやBCP(事業継続計画)のさらなる強靱化が課題となっている。
デンソーは取引先の生産場所などの情報を可視化し、管理するシステム「SCRキーパー」を運用しており、地震や火災といった有事の際の対応力を高めてきた。半導体不足に対しては在庫を3―4カ月分に積み増すなど対策を進めてきた。新システム導入でリスク対応力を底上げする。
また、現実世界をデジタル空間上に再現する「デジタルツイン」の活用を強化。例えば現在は、工場新設などの際にシミュレーションで検証する仕組みを社内で構築することを目指し、開発などを進めている。こうした仕組みをサプライチェーンに広げることも検討し、将来はデジタル空間上でリスク在庫を管理する可能性についても考えていく方針だ。
足元では原材料価格高騰や物流停滞など、複数の課題が表面化している。今後は特に3次、4次といった中小部品メーカーのカバーも課題になりそうだ。
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