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デンソーグループが取り組む“コト売り”時代の秘策

デンソーテン(神戸市兵庫区、加藤之啓社長)は売上高に占めるコネクテッドサービス事業の比率を現状の5%から2031年3月期に約25%に引き上げる。ドライブレコーダーを活用した安全運転管理などが事業の中心。クラウド関連のソフトウエア開発人材を育成し、社会課題解決型の提案を強化する。

デンソーテンのコネクテッドサービス事業の売上高は22年3月期で150億円程度とみられる。交通事故削減を目的としたテレマティクスと、過疎地などで移動の足を確保するためのMaaS(乗り物のサービス化)が2本柱。

ドライブレコーダーやタクシー配車システムなどの既存事業をベースに、データ分析技術を組み合わせて提案している。

デンソーテンは今後、顧客体験を生み出す“コト売り”を強化するため、ソフト人材育成に注力する。複数ある本社研究開発棟の一部の棟を丸ごと改装し、22年8月から24年ごろにかけて順次稼働する。フリーアドレス制などを導入し、社員の柔軟な発想を引き出す。

デンソーがデンソーテンに過半出資した17年以降、両社のコネクテッドサービス分野をデンソーテン側に集約。デンソーのプラットフォーム(基盤)上で、デンソーテンがアプリを開発・運用する役割分担でシナジーを生み出してきた。

例えば混雑緩和を目的とした人流分析アプリや過疎地域でのオンデマンド交通システムなど、実証実験を増やしつつある。デンソーテンは21年4月に「ソフトウエアファースト推進室」を設置した。一部担当者を専任とするなど体制強化を進めている。

日刊工業新聞2022年4月12日

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