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「4000億円が全てではない」…成長投資積み増し示唆のパナソニック社長が重視する成長領域

パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長は合同取材に応じ、2022―24年度で成長領域に4000億円を投じる計画について「4000億円が全てではない」と語り、必要に応じ積み増す考えを示した。車載電池や、サプライチェーンソフトウエア、空調については各領域で生み出すキャッシュでは、3年間で必要なキャッシュを確保できないかもしれないとして、戦略投資を振り向ける。

自動車の電動化の潮流で「車載電池は非常に大きな要素。競合が兆円規模の投資をする中、4000億円で足りない場合はいろんな資本政策を検討する」(楠見社長)。当面はテスラ向けとされる供給先も「電池の圧倒的な競争力がもてれば顧客から話が来るようになる」(同)と、供給先拡大に意欲を見せた。

環境問題への貢献を戦略の軸に据える同社は、3年間で成長領域とは別に2000億円を技術基盤投資として設定。楠見社長は「燃料電池の性能・効率アップ、水素製造においての競争力アップは一つのチャレンジになる」とした。

パナソニックHDは30数年もの間、停滞し続ける状態からの脱却を目指し、1日、各事業会社に権限移譲する「自主責任経営」を徹底し競争力強化を図る新たなグループ経営体制を始動させた。楠見社長は「当社は幸い創業者が残した経営のコツが残っている。それがおろそかになっていたこの何十年」と振り返る。一方「それを磨けば、顧客のお役立ちにおいて誰にもまけない仕事ができる」と経営基本方針に基づく経営を貫く方針だ。走り出したHD体制が吉と出るのか、手腕が問われている。

日刊工業新聞2022年4月15日

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