パナソニック新社長が語った、持ち株会社移行と米テスラとの関係

楠見雄規社長兼CEOインタビュー

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来年4月持ち株会社、改善積み重ねる組織風土に

2022年4月に持ち株会社制移行を控えるパナソニック。新たな「パナソニックホールディングス(HD)」の傘下で各事業会社に権限委譲と責任経営を求め、競争力を高める狙いがある。新体制は6月24日の定時株主総会を経て9代目トップに就いた楠見雄規社長兼最高経営責任者(CEO)が率いる。8日までに日刊工業新聞などの取材に応じた楠見社長に、新体制の方向性などを聞いた。

―持ち株会社化に向けた準備については。

「(10月からの半年間は)試行期間。どこにフォーカスし、競争力を磨き上げるかの議論を進めてもらう。しっかりとした形でスタートを切るのは22年4月。時代を先取りし、どう役立つかを決める必要がある。これが(パナソニックが掲げる)“専鋭化”にもなる」

―競争力を磨く期間の2年間の狙いは。

「正直に言うと“えいや!”で決めた部分がある。2年間は財務指標上での結果としては事業によって出やすい、出にくいがある。各自が改善を積み重ねる風土にできれば競争力の強化につながる。その期間が3年も掛かっては駄目だが、組織も大きいため1年は短い。特に風土改革は根底に据える必要がある。競争力強化の体質になるのが2年だ」

―新体制の中では唯一の地域軸として「中国・北東アジア社」があります。中国での事業はどう見ますか。

「中国の地場メーカーがどんな努力をして力をつけているかは、中国で軸足を置かないと分からない。その中に身を置くことで、中国から学ぶことも多い。その“火”を絶やさないことだが、本当の意図ではグローバルで自分たちに力を付けるためでもある」

―保有していた米電気自動車(EV)大手テスラの全株式を20年度中に約4000億円で売却しました。

「過去は株保有でテスラを支える要素もあったが(テスラの成長もあり)今は株保有で支えるものではない。純粋に財務的な判断だ」

−米テスラ向けで大容量の新型車載用円筒形電池『4680』を開発中です。

「(試作設備を導入する)住之江工場(大阪市住之江区)を訪れた。詳細は言えないが、しっかりとした電池を生産するための“ネタ”は聞いた。量産に結びつけるパフォーマンスを出すために見極めていきたい」

―津賀一宏前社長(現会長)は9年トップを務めました。経営に対する思いと、自身の後継者像は。

「(経営が軌道に乗ることを)この2年である程度見える形にできれば継続できるが、おかしいとなれば早々に引き際を覚悟する。それくらいの覚悟を持ってやらなければならない。(テレビ事業などを担当した)私自身もそうだったが厳しい側面を含め、多様なかじ取りの経験がポイントになる。どう知恵を出し、生き生きとやってもらうかも育成上では重要と考えている」

―23日の開幕が迫る東京五輪については。

「(パナソニックはトップスポンサーの『ワールドワイドパートナー』を務めるが、観客問題は)1スポンサーに過ぎないので当社が意見を申し上げることではない。1スポンサーとしては安全な大会の成功と、アスリートの方が実力を発揮することを願いたい」

【記者の目/決断力が成長けん引】

新体制での人材活用では「ひとつの事業会社に留まらず、いろいろな経験をしてもらうことも大事。人を生かす上でHDが果たす役割は大きい」と楠見社長。サプライチェーン管理(SCM)ソフトウエアを手がける米ブルーヨンダーの完全子会社化で見せた“決断力”もパナソニックの成長に寄与しそうだ。(編集委員・林武志)

日刊工業新聞2021年7月9日

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