日本特殊陶業社長・川合尊氏/CO2工場内循環に挑戦
虎視 勝ち筋探る車部品#07
―2021年4月に社内カンパニー制をスタートしました。手応えは。
「半導体不足やコンテナ不足などが重なり大変な1年になるかと思ったが、自動車の補修用部品や半導体製造装置部品が好調で業績は上向きだ。会社として新しいことに挑戦しやすい状況だ。今後、人事制度を変える。カンパニーの目標、個人の目標の達成度に応じて賞与などを評価する。従業員はチャンスと捉えてほしい」
―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応での取り組みは。
「固体酸化物形燃料電池(SOFC)の技術などを生かし、工場内で二酸化炭素(CO2)を循環する仕組みを考えたい。環境対応への投資が難しい中堅・中小企業にカーボンリサイクルの装置として提供できれば、ビジネスチャンスになる。当社のCO2排出削減にも生かせる」
―電動化対応ではどんな製品を手がけていきますか。
「顧客と最も接点のある分野なので強化したい。ただ酸化物系の『固体電池』は自動車向けにどう差別化するかが課題だ。まずは具体的な目標を定める」
―新規事業で期待する分野は。
「国連の持続可能な開発目標(SDGs)関連だと(自動車部品のセンサー技術を活用した)陸上養殖のシステムだ。水中のアンモニア濃度を測るなどして水を適切に管理し、魚が育ちやすい環境をつくれる」
【記者の目/さらなる新製品開発カギ】
自動車の電動化が進む中、日本特殊陶業はスパークプラグなどの内燃機関事業に頼らない事業構造を作るため、半導体や医療関連事業を拡大する方針。事業構造の変革を確実にするためには、電動化対応製品の拡充も重要だ。固体電池、開発中のリチウムイオンキャパシターに加え、さらなる新製品の開発がカギを握る。(名古屋・山岸渉)
日刊工業新聞2022年2月9日