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自立したキャリア形成支援へ、カシオ計算機が整えた人事制度の効果

カシオ計算機は社員の自立したキャリア形成を支援する。人材育成の体系化とダイバーシティーの推進などを掲げ、社員が希望するキャリアを実現できるよう人事制度を整えた。人事部の高橋英史人事戦略グループマネジャーは「会社が社員のキャリアを考える時代から、社員個人が主体的に考えてキャリアを組み立てていく時代に変化している」と説明する。

カシオ計算機の人事制度は社員の自己実現に焦点を当てており、能力を最大限発揮してもらうのが狙いだ。社員は各年代で継続的に研修を受けてキャリア形成を行う。一方、上司に対しても研修も行い、人材育成を支援する。

新制度では副業や兼業の制度を明確にし、スキルを生かした柔軟な働き方を支援する。社内公募制度としてジョブチャレンジを改めて制定し、これまでに約50人が活用した。従来と異なり経営戦略的な視点より社員の希望に重点を置き、募集をかける側のハードルも低くした。高橋グループマネジャーは「選択肢ができ、人材の流動性が生まれている。生産性の向上にもつながる」と説明する。

またモノを売って終わりではなく、サービスの提供などデジタルを融合したビジネスの重要性が増す中で、工学系の人材に加えて情報系などさまざまなバックグラウンドを持つ人材に活躍の場ができてきた。同社としても人材の多様化を進めており、高橋グループグループマネジャーは「幅広く学生の採用を進めることで女性比率の向上にもつながる」と効果を説明する。

これまでにない創造性の発揮にもつながり、高橋宏日人事戦略グループリーダーは「価値観の多様性を、モノづくりに生かしていくことが重要だ」と強調する。

従来型キャリアの考え方を変え、人材の多様化を推進するには長期的な取り組みが必要だ。社員が自己実現できる企業へと進化するには、継続性が求められる。

日刊工業新聞2022年3月8日

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