新幹線の車両整備を支えるロボットシステムの仕組み
JR九州エンジニアリングがボルト締結力自動測定用を開発
JR九州エンジニアリング(福岡市博多区、師村博社長)は、新幹線車両のブレーキディスクのボルト締結力(軸力)をロボットアームと超音波センサーで自動測定するシステム「BOLT(ボルト)=写真」を開発したと発表した。JR九州熊本総合車両所(熊本市南区)内の事業所に導入した。測定精度の向上に加えて、年1700時間分の人手作業を削減する。グループ外への販売も目指す。
ロボットに装着したセンサーを長さ10センチメートルほどの鋼製ボルトに当てて測る。締め付け具合で変わる、ボルト頭部から底面までのエコー反射時間から軸力を推定する。測定精度のバラつきが人手の10分の1になる。測定データは自動保存する。
軸力の検査数は年1万4000本ほどで、従来すべて手作業で検査していた。削減時間は1人分の年間作業量に当たる。
同社はJR九州グループで車両整備を担う。人手不足や9月の西九州新幹線開業で作業量が増える中、省力化と安全性向上を目指す。自社開発システムはダンパー塗装ロボットに続き二つ目。鉄道業界に共通する課題を解決する先行事例として外販も積極化する。
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日刊工業新聞2022年3月31日