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ロームが開発、オン抵抗2割低減した「パワー半導体」の全容

ロームが開発、オン抵抗2割低減した「パワー半導体」の全容

trrを維持し、オン抵抗を他社従来品に比べ最大20%低減できる600ボルト耐圧のスーパージャンクションMOSFET

ロームはインバーター回路の電力損失低減に適したパワー半導体を開発した。600ボルト耐圧スーパージャンクション構造の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)「プレストモス」に、業界最速の逆回復時間(trr)とオン抵抗の低減を両立した7機種を追加。1月に月産10万個体制で量産を始めた。消費税抜きのサンプル価格は1個900円。

新機種は、スイッチング時の損失の原因となるtrrを105ナノ秒(ナノは10億分の1)に速めながら、導通時の電力損失の原因となるオン抵抗を他社従来品比で最大20%低減したのが特徴。高速のtrrにより、スイッチング時の電力損失を他社従来品比で17%低減。背反する両性能を同時に実現したことで、搭載機器の低消費電力化に寄与する。

独自の素子設計技術で単位面積当たりに流せる電流密度を高めており、電気自動車(EV)充電ステーションやサーバー、エアコンといったインバーター回路などで採用を見込む。新機種の前工程は滋賀と福岡の2県、後工程は中国の工場で担う。

世界的な電力消費量の増加で、EV充電ステーションや基地局、白物家電の高効率化が課題となっている。これらの機器に搭載するパワー半導体も、電力損失の低減が求められている。そのためロームでは、さらに低ノイズ性能を高めたシリーズを年内に投入予定。機種を拡充し幅広く需要を取り込む方針だ。

日刊工業新聞 2022年3月18日

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