SiCパワー半導体「垂直統合」にカジ、東芝が生かす技術

エピウエハー内製化

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東芝傘下のニューフレアテクノロジーのSiCエピタキシャル成長装置

東芝はパワー半導体に使う炭化ケイ素(SiC)エピタキシャル(薄膜結晶)ウエハーの内製化に乗り出す。強みの半導体製造装置技術を生かし、2025年度までに自社でウエハー基板上に成膜できる体制を整える。自動車の電動化を背景にSiCパワー半導体(用語参照)の需要が急速に高まっており、品質向上や原材料の安定調達に資する垂直統合モデルにかじを切る。

【30秒で分かる「パワー半導体」】

子会社の東芝デバイス&ストレージ(川崎市幸区)は現在、昭和電工からパワー半導体用のSiCエピウエハーを調達している。ただ、24―25年ごろのSiCパワー半導体市場の本格立ち上がりをにらんで材料調達先を多様化する際に、その一部を内製に切り替える方針だ。

従来はSiCエピウエハーを購入した上で、自社の姫路半導体工場(兵庫県太子町)で電極などを形成してパワー半導体素子に仕上げていた。今後は他社からSiCウエハー基板を調達し、社内で基板に結晶方位のそろった単結晶の薄膜を成長させる工程も一部取り込む。

そこで生きるのが、傘下のニューフレアテクノロジー(横浜市磯子区)が手がけるエピタキシャル成長装置の技術だ。

SiCエピウエハーはシリコンと比べてまだ結晶欠陥が多いと言われ、パワー半導体の安定生産や歩留まり改善にはさらなる品質向上が不可欠だ。材料の内製化を含む垂直統合モデルにより技術の作り込みを加速し、車載だけでなく鉄道や洋上風力発電、データセンター向けの成長市場に攻勢をかける。

同業他社でも、ロームが09年にSiCウエハー製造の独サイクリスタルを買収して垂直統合型生産体制をいち早く敷いた。スイスのSTマイクロエレクトロニクスも使用するSiCウエハーの一部を自社製造している。大手各社は主要材料の内製と外部調達のバランスをとりながら次世代パワー半導体の需要急増に対応する。

【用語】SiCパワー半導体=現在主流のシリコンに次ぐ次世代材料のSiCを用いた化合物半導体。高出力や高効率、小型化が特徴で、特に電気自動車(EV)など電動車の航続距離を延ばす目的で需要が当初の想定より急激に拡大している。

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日刊工業新聞2022年3月15日

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