自動車部材から年100トン回収、帝人がCFRTP再生に挑む
帝人は熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「セリーボ」のリサイクルシステムを構築する。年間100トン程度の使用済み材料の回収を目指し、同材料を使う自動車部品メーカーなどと連携。2030年に再生材料の量産化を目指す。バージン材100%の製品と比べ二酸化炭素(CO2)の排出量を10分の1程度に抑える。すでに同材料の端材でサンプル提供を始めている。量産に向け、回収スキームの確立と品質の安定化を急ぐ。
セリーボは熱可塑性樹脂を使った同社独自の材料で製造されたCFRTP製品。強度と軽量化に寄与するだけでなく、成形時間が早い特徴を持つ。炭素繊維の長さや配向の違いによる三つのタイプの材料で作られる。一眼レフカメラなど電子機器の筐体(きょうたい)やピックアップトラックの荷台など用途によって材料を使い分ける。
リサイクルシステムの確立を目指すのは繊維長が長いピックアップトラックの荷台向け製品。電子機器などに使われるタイプは繊維長が短く、再材料化が難しいとされる。
回収したものは、カメラの筐体や自動車の構造部材などに展開する計画。「繊維と樹脂のバランスを取るため、バージン材との組み合わせになる」(帝人の清水浩之複合成形材料営業部長)という。
ピックアップトラックの需要は堅調で、今後は飛行ロボット(ドローン)用途などでの活用も見込まれており、一段の普及・回収が期待される。
日刊工業新聞2022年3月17日