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日産自動車が電動化技術で解決する社会課題の中身

日産自動車が電動化技術で解決する社会課題の中身

日産自動車はパートーナとタッグを組み自治体の脱炭素化を支援する(左から2人目が日産の内田社長、3人目が住商の兵頭社長、昨年12月)

日産自動車は強みの電動化技術を核に社会課題の解決に乗り出している。自治体の脱炭素化を支援するため住友商事などとパートナーシップを2021年12月に締結した。日産の電気自動車(EV)や再生可能エネルギー由来の電力の導入を広げ、移動手段の脱炭素化や地域内のエネルギー循環を確立する。

「パートナーとタッグを組み包括的なアプローチでカーボンニュートラル社会の実現にまい進する」。内田誠日産社長は連携拡大に意気込みを示した。

パートナーには自治体へのEV導入支援などを手がける住友三井オートサービス(東京都新宿区)も参画。住商が世界で展開する再生エネやEVのカーシェアリング事業のノウハウを活用し、自治体の地産地消型脱炭素社会の実現を支える。

具体的には自治体の施設や地域企業向けに、EVの導入やカーシェア環境構築をサポート。再生エネ電力や電力取引プラットフォーム(基盤)の導入により、効率的なエネルギーマネジメントを実現する。住商の兵頭誠之社長は「3社だけでなく社内外のパートナーと広く連携しながら、モビリティーとエネルギーの両輪で自治体の脱炭素化を支援する」とした。

一方、日産はスーパーシティAiCTコンソーシアム(福島県会津若松市)とも連携協定に合意した。同市内のオフィスビル「スマートシティAiCT」に太陽光発電を導入。蓄電設備として日産の新型EV「アリア」5台を活用するシステムを構築して実証実験を行う。市内でのEV活用の状況や電池の状態を人工知能(AI)で予測し、再生エネの発電予測と融合。EVを活用したエネルギービジネスの有効性や地域エネルギー活用の最適化などを検証する。

日産は電動化の加速などを盛り込んだ30年度までの長期ビジョンを21年11月に策定。住商などとの連携は同ビジョンを実現する第1弾と位置付ける。内田社長は「人と社会がよりつながる移動の可能性を目指し、パートナーと共に未来を切り拓いていきたい」とした。

日刊工業新聞 2022年1月25日

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