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ロールス・ロイスも協働、日本で事業化目指す「電動航空機」開発企業の正体

ロールス・ロイスも協働、日本で事業化目指す「電動航空機」開発企業の正体

開発中のeVTOL「VA-X4」(飛行中のイメージ)

“エアモビリティ”とは、身近で手頃な空の移動手段を指す。英バーティカルエアロスペース(VA、ブリストル)はその中でも、垂直に離着陸できる電動航空機「eVTOL」の開発を手がける。開発中の「VA―X4」は、欧州航空安全機関(EASA)などから2024年の型式証明取得を予定し、すでにエアラインや航空機リース会社から1350機のプレオーダーを受注している。

VAは16年の創業。英ロールス・ロイスや米ハネウェルなど技術的に信頼できる航空産業のトップ企業を開発パートナーとしており、eVTOLの開発は実寸大機のテストフライト段階まで進んでいる。「VA―X4」はパイロットを含む5人乗りで、主翼の前後に計8発のローター(回転翼)を備える。全長約12・8メートル、積載重量は450キログラム。航続距離約161キロメートル超、時速約325キロメートルで、成田空港と東京駅間を14分で移動できる。飛行中の騒音はヘリコプターの100分の1程度という。

日本での事業化に向けてVAと21年に業務提携した丸紅は、200機の予約発注権を取得している。「エアラインなどの航空運送事業者と連携する運航事業を中心に事業化を検討し、エアモビリティビジネス全体のエコシステム(生態系)整備も進める」(航空宇宙・防衛事業部航空第三課の吉川祐一さん)との考え。

25年大阪・関西万博での社会実装を目指すほか、瀬戸内海、大阪湾、東京湾などの湾内、離島間、都市間を結ぶなど、従来にない移動ニーズを創出しようとしている。

eVTOLを含む電動航空機は25年頃から世界で運用が始まり、近距離移動の新しい選択肢になると見られる。電動化による機体の簡素化や二酸化炭素(CO2)排出のない環境負荷の低さ、自動運航機能などによる操縦、整備の軽減などにより、いずれはタクシーなどの地上交通と同等かそれ以下の運航コストになると期待されている。(編集委員・錦織承平)

日刊工業新聞2022年3月11日

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