未来の介護像、着衣を手助けしてくれるロボットが面白い
九州工業大学の柴田智広教授と山崎駆大学院生、酒井義史大学院生らは、服をハンガーラックから取って人に着せるまで支援するロボットシステム「HAFY」を開発した。双腕ロボなど汎用性の高い3台の機体を組み合わせる。通常の洋服とハンガーで着衣を支援でき、ロボットはそれぞれ着衣以外の用途が見込める。未来のロボット介護像として提案していく。
まずクリップ付ハンガーに上着の前襟の部分を挟んでハンガーラックにかけておく。するとトヨタ自動車の生活支援ロボ「HSR」が画像認識で洋服を認識して取りにいく。この際に色判定ができるため服を指定できる。
HSRはハンガー部分を持って、米リシンク・ロボティクスの双腕ロボット「バクスター」に洋服を渡す。クリップから外す際に上着の前襟部分を持つことになる。いす型移動ロボに乗って人が着衣スペースにくると、バクスターは人の背中から腕に沿うように下から肩へ羽織らせる。
この着せ方だと肩の上がらない高齢者らも着やすい。袖の中に腕を通すために揺する程度の動作で上着を着られる。1人では服を着るのに難儀するが、少しの介助で着られる人を対象とする。
ロボット研究において衣類などの柔軟物のハンドリングは難しい研究課題。着衣や脱衣は人とロボの協調が必要になる。一方で着衣支援専門のロボットは商品として費用対効果が成り立ちにくい。そこで汎用性の高いロボで着衣や調理、片付けなど幅広い仕事をこなすシステムが目指されている。
詳細は9日から開かれる「2022国際ロボット展」で発表する。
日刊工業新聞2022年3月1日