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村田製作所が336億円で米レゾナントの完全子会社化を決断した理由

村田製作所は、約3億ドル(約336億円)を投じて高周波フィルターの開発、設計技術を持つ米レゾナント(テキサス州)を買収する。レゾナントの第5世代通信(5G)領域の周波数帯をカバーするRFフィルター向け技術と、SAWフィルター開発などで培った村田の素子設計技術を融合し、2023年度めどに共同開発した製品を投入する。レゾナントの技術を用いたフィルター市場向け製品の売上高を、早期に年数百億円に育てる方針。

村田の米国子会社の完全子会社として設立した買収目的子会社を通じ、株式公開買い付け(TOB)でレゾナントの全株式取得を目指す。3月下旬に買収が完了する予定。

RFフィルターは、電子機器が通信する際、特定の周波数帯の信号のみを通過させる電子部品で、スマートフォンなど通信機能を持つ機器に搭載される。レゾナントは3ギガ―9ギガヘルツの周波数に対応する高周波フィルター向け技術が強み。20年12月期の売上高は316万ドル。

村田は19年にレゾナントに700万ドルを出資。現在、米子会社を通じて発行済み株式の約4・2%を持つ。独占契約を結び共同で技術開発を進めてきた。レゾナントの5Gに使う電波を高精度に捉える「XBAR(エックスバー)」技術と、村田の素子設計技術を融合した製品実用化にめどがつき、完全子会社化を決めた。

日刊工業新聞 2022年2月16日

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