世界最大のロボット市場「中国」、メーカーシェアに見る日本・韓国・欧州の攻勢
国際ロボット連盟(IFR)がまとめたリポートによると、世界最大の産業用ロボットの市場となっている中国で、年間の新規設置台数に占める外国メーカーと中国現地メーカーの比率がほぼ一定で推移していることが分かった。2015―20年の6年間を見ると、シェアは外国メーカーが約7割、中国現地メーカーが約3割のシェアとなっている。中国のロボット市場は急速に拡大しているが、日本や韓国、欧州を中心としたロボット企業も攻勢を強めている。
20年の中国における外国ロボットメーカーのシェアは73・2%、中国現地メーカは26・8%だった。年によって多少の変動はあるものの、過去6年間で大きな変化は生じていない。20年の新規設置台数は日本や韓国、欧州などの外国ロボットメーカーが前年比約24%増の約12万3000台、中国メーカーは同13%増の約4万5300台だった。
「中国は年間売上高と運用在庫に関して、世界最大のロボット市場」とIFRのミルトン・ゲリー会長は指摘する。IFRでは従業員1万人当たりの産業用ロボットの利用数を「ロボット密度統計」として集計している。中国のロボット密度は5年前には49台だったが、足元は世界9位の246台と約5倍に増加している。同国のロボット稼働台数は20年時点で94万3000台に上り、21年には100万台を超える見込みだ。
中国政府は21年12月末にロボット産業の新5カ年計画を発表した。中国をロボット技術と産業進歩の世界的リーダーにすることを目指す。メーカーの再編・統合支援などの施策を通じて国際競争力を高め、技術水準の高いハイエンド製品の供給を増やす構えだ。
ロボットは現代産業において自動化・省力化を担う重要な装置。ロボット技術の進化やロボット関連技術者を増やすことが、労働人口減少への対応や生産性向上など社会課題の解決につながる。今後も各国でロボットを取り巻く環境整備や技術競争に拍車がかかりそうだ。
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