ヘアアイロンで巻き髪を作る。作業を後押しするAR技術が面白い
神戸大学の松井菜摘大学院生と寺田努教授、塚本昌彦教授らは、ヘアアイロンで巻き髪を作る作業を支援する拡張現実(AR)技術を開発した。健康状態などを表示するスマートミラーのように、ヘアアイロンの動きを表示する。ユーザーはシステムが提示する位置と角度にヘアアイロンを移動させ加熱すると巻き髪が作れる。
支援システムの原理検証のために、ヘアアイロンにマーカーや加速度センサーを付けてヘアアイロンの位置や傾きを計測した。髪の巻き数はヘアアイロンに赤青黄緑の4色のシールを4方向に貼り、色検出でヘアアイロンの回転量を測る。カメラでユーザーの顔を検出し、顔の位置からヘアアイロンの正しい相対位置を計算する。
ユーザーはデジタルミラーに表示されるスティックバーにヘアアイロンを重ね、指定された色まで巻く作業を繰り返す。巻き髪は髪を巻いて加熱する際のヘアアイロンの角度や高さによって仕上がりが変わる。やりながら具体的な操作が指示されるため感覚がつかみやすいと考えられる。
4人のユーザーテストではヘアアイロンの操作精度が大幅に改善した。ただ巻き髪の仕上がりはうまくいくケースと、いかないケースがあった。より精緻な支援には毛束をとる位置や毛量などの情報も加える必要がある。
一方で、髪質や巻き癖などの計測の難しい要素もあり、個人差や仕上がりの評価はユーザー自身がした方が手軽に使いやすい。うまく仕上がった例を記録し、手順と共に再現するシステムへの応用が見込める。
日刊工業新聞2022年1月19日