自動化率1%以下のホンダの船外機工場、働きやすい環境を整備する工場長の思い

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船外機生産は自動化が難しく、ほぼ全ての組み立て作業を人が担っている

ホンダは2025年までを「人材多様性の進化・拡大期」と位置付け、関連の取り組みを積極化している。小型ボートなどを対象とした船外機を生産する細江船外機工場(浜松市北区)では、女性や障がい者が小型機器の組み立てラインで活躍する。コロナ禍で増えている船外機の需要に対応するためにも、多様な人材の育成や働きやすい職場環境の整備はカギを握る。

ホンダは1964年に船外機市場に参入、2021年には累計生産台数が200万台を超えた。そのマザー工場が細江船外機工場だ。足元ではコロナ禍で「密」を回避して楽しむことができるレジャーとして、個人用クルーザーなどの人気が高まっている。この影響により船外機の需要も右肩上がりという状況だ。

船外機は大きさが多様であるため、生産ラインを自動化するのが難しい。このため、ほぼ全ての組み立て作業を人手で実施している。従業員のスキルが製品の品質を大きく左右する。

船外機の重量は小型機器でも10キログラム超あり、大型機器の場合は300キログラム近い。周辺パーツの取り付けなどの作業には体力が必要なため、生産現場で働く従業員の大多数は男性だ。

ただ女性の従業員も少しずつ増えている。「船外機や組み立て作業に興味があるという女性からの応募も来ている」と平田達也工場長は明かす。作業負担が比較的軽い小型機の生産ラインに配属するといった工夫をしており、平田工場長は「働きたいという意欲には応えたい」と強調する。

電動化など状況変化に対応するため、多様な人材を受け入れる風土づくりが重要(船外機の内部)

組み立てラインでは障がいがある従業員が働いている。耳が不自由な従業員向けには、作業フローの連絡をランプ点灯で「見える化」するといった工夫をしている。

船外機事業を統括するライフクリエーション事業本部の加藤稔本部長は、同事業の拡大に向け「中途採用などで人を増やし、マリン(船外機事業)人材を長期的に育てるといった取り組みを足元で着実に進めている」と話す。

電動化といった状況の変化に柔軟に対応するためにも、多様な人材を受け入れる風土や環境作りがいっそう重要となっている。(江上佑美子)

【ポイント】細江船外機工場の自動化率は1%以下。機械のサポートは乏しく、女性や障がい者が活躍しやすいとは言いがたい。そのハンディを「意欲に応えたい」という平田達也工場長の思いや、現場の工夫でカバーする。

日刊工業新聞 2022年1月20日

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