自動車の電動化が追い風、東洋紡が10億円以上を投じてVOC処理装置の生産能力倍増へ
東洋紡は揮発性有機化合物(VOC)処理装置の生産能力を倍増する検討に入った。投資額は10億円以上の見込みで、早ければ2022年度中にも増産体制を整える。同装置はリチウムイオン二次電池(LIB)のセパレーター製造工程で使用されており、自動車の電動化の進展から需要が拡大。同装置への引き合いが増えており、増産対応が急務となっている。
VOC処理装置は工場の生産設備の排気に含まれるVOCの除去や高純度の溶剤の回収に使用される。東洋紡は活性炭素繊維を用いた同装置を1975年に製品化し、これまでに1500台以上の納入実績がある。LIBのセパレーター生産工程では塩化メチレンの回収などに使用されている。増産に向けグループ会社の設備増強に加え、外注先にも増産対応を求める。
同社ではコロナ禍でVOC処理装置の受注が一時的に減少したものの、LIBセパレーター向けは堅調に推移している。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向け電気自動車(EV)の開発競争が加速していることから、さらなる需要拡大が見込める。
そのため竹内郁夫社長はVOC処理装置について「近い将来、増設の意思決定が必要と考えている」としている。
日刊工業新聞2021年12月23日