ソニーグループが描く「AI×ロボット」の未来

ソニーグループ常務・川西泉氏インタビュー

  • 1
  • 7
ソニーグループのイヌ型ロボット「アイボ」

1999年にイヌ型ロボット「アイボ」を発売して約20年―。ソニーグループは、強みとするイメージングやセンシングといった技術とロボティクス技術を生かし、電気自動車(EV)「VISION―S」や飛行ロボット(ドローン)「エアピーク」の開発を進めている。エンターテインメントとの融合も目指す同社のAI×ロボティクスの今後について川西泉常務に聞いた。

―VISION-Sの現状と実用化の可能性は。

「当社は車載センサーを開発しているが、本当に必要な機能を理解するために完成品も必要だという発想でVISION―Sを作った。車体そのものの実用化よりも安心安全な自動運転の実現に重点を置き、テストをしている。現在、欧州でセンシングや第5世代通信(5G)技術の活用がどのような利点をもたらすか走行試験を実施中だ。コロナ禍で難しい状況だが、日本でも同様の走行試験の実施を目指している。国内での走行試験でも、ITや情報通信企業との連携が必要になるだろう」

―エアピークの活用の幅を広げる戦略は。

「まずは映像撮影用としてドローンを実用化するが、人の立ち入りが難しい場所の測量や点検での用途が次の領域と考えている。被災地の観測や物資輸送などでの需要もあると認識しているが、災害用途では悪天候や遠隔地への飛行が求められる。安全や性能にさらに高いレベルが要求されるため、政府などと協力しながら開発を進める」

川西泉常務

―AIとロボティクスの実用化で新たにどのような価値が生まれますか。

「車を例に取ると、車体の電化で車をソフトウエアで制御する時代になり、ITとの融合が進むだろう。さらに自動化により、車内空間は人がエンターテインメントを楽しむ場になる。エンターテインメントサービスを展開して顧客とつながる『DTCビジネス』を実現する場として、可能性が広がる」

―どのような人材を求めていますか。

「機械を設計して動かせる人材が不足している。製品のデジタル化が進み半導体やソフトウエアを扱える人材に注目が集まるが、ロボティクスとして生かすにはメカトロニクスの技術が必要だ。メカトロニクスに強みを持つ企業として、機械を設計し動かせる人材を増やしていきたい」

*取材はオンラインで実施。写真はソニーグループ提供

記者の目/新たな“和み”に期待
AI×ロボティクスの先駆的事例と言えるアイボは、その振る舞いから多くの人々を和ませた。ITやAI技術が急速に発展する中、センサーで運転手や同乗者の状態を分析して最適な機能を提供するなどEV、ヘルスケアなどへの活用の可能性が広がる。5Gなど高速通信を組み合わせて利用者にどのような“和み”を提供できるのか。ソニーグループの底力が試される。(安川結野)

日刊工業新聞2021年10月28日

キーワード
ソニー

関連する記事はこちら

特集