松屋や高島屋などが攻勢、有望「アート市場」開拓へあの手この手

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アート関連の堅調な需要を取り込む(松屋銀座内の「デザインコレクション」)

大手百貨店がアート市場の開拓に力を注いでいる。催事を開催するなど、もともと百貨店とは親和性が高い分野で、販売強化の動きが広がっている。コロナ禍での店舗休業などにより苦しんだ一方で、高額品など特定商品の売れ行きは好調。アートも堅調な商品の一つであり、有望市場をめぐり各社が攻勢を強めている。

松屋は銀座店(東京都中央区)内に構えるデザインのセレクトショップ「デザインコレクション」のバーチャル店舗(仮想店舗)を11月にオープンした。来店さながらの感じで入店して店内を歩いたり、360度画像で商品を手にとって眺めたりする感覚をインターネット上で体験できる。

デザインコレクションは、1955年に松屋と日本デザインコミッティーが協力して作った店舗。扱う商品は同コミッティーのメンバーが選定した逸品で、セレクトショップの草分け的存在だ。

仮想店舗により、遠方の人でも“店舗”を体験できる機会を提供し認知を広げるほか、仮想店舗経由での来店促進を狙う。電子商取引(EC)と店舗での売上高増を見込み、デザインコレクションの年間売上高で前年比25%増を目指す計画。アートに関心の高い層の需要を取り込む考えだ。

高島屋は子会社で商業施設の開発・運営を手がける東神開発(東京都世田谷区)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)で、アートの販売を主体とした共同出資会社を10月に設立した。CCCが作家の発掘やアート作品の調達を担い、高島屋グループが国内外の商業施設で商品やサービスを提供する。

高島屋は顧客基盤や催事などを通じて美術・文化に携わってきた実績を生かし、外商などの販売チャネルで提案していく。将来はCCCの「蔦屋書店」などの店舗を高島屋グループの施設に出店することも検討しており、シナジーを発揮してアート分野の市場開拓に取り組む。

J・フロントリテイリングもアート分野で攻勢をかける構えだ。傘下の大丸松坂屋百貨店の沢田太郎社長は、「今後伸びていくと考えるのはアート」と指摘する。「現代アートの催事は非常に好調。地方店でも実績を上げている。画廊とも強いパイプがあり、この分野はしっかり伸ばしたいと考えている」(沢田社長)と力を込める。リアルとオンラインを組み合わせた取り組みなどを通じて、成長を拡大させていく方針だ。

日刊工業新聞2021年12月3日

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松屋 高島屋 仮想店舗

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