コロナ前に回復もリスク要因多数、商用車メーカー業績の行方

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トラックメーカーはCASE関連の積極投資は継続する(日野自が開発した小型EVトラック)

上場する国内商用車2社は、販売台数が海外市場を中心に新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復してきた。日野自動車は2022年3月期連結業績予想で売上高と各利益項目を上方修正した。いすゞ自動車は業績予想を前回公表値から据え置いたものの、上期(21年4―9月期)の売上高や各利益項目の実績は過去最高だった。ただ、足元では部品供給不足に加えて原材料価格の高騰などの不安も浮上。一層の原価低減の努力が求められる局面となっている。

「東南アジア諸国連合(ASEAN)市場の回復の足取りは非常に強い」。日野自の小木曽聡社長は力を込める。東南アジア地域は日系商用車メーカーの牙城なだけに、現地市場のコロナ禍からの回復が業績を左右する。

上期ではインドネシアにおける日野自の販売台数が前年同期比2倍超の8796台だった。インフラ投資が再び活発化したことなどが追い風となった。いすゞも主力車種のピックアップトラックについて、タイの販売台数が同約3割増の7万1000台だった。

一方、今後の懸念材料が半導体などの部品供給不足や原材料価格だ。いすゞの片山正則社長は「上期は調達の問題に明け暮れた」と振り返る。供給不安に関しては「下期もある程度影響が出ると覚悟せざるを得ない」と話す。

鋼材などの価格高騰もリスク要因だ。「原材料の高騰は下期で悪化する」(いすゞの中俣直人常務執行役員)、「下期は上期よりも非常に厳しい」(日野自の松川徹財務・経理領域長)といった声が挙がる。

需要が堅調に回復する中でも、下期はより厳しい原価改善を迫られる。日野自は22年3月期業績の営業利益予想で、前期実績と比べ材料費が210億円の減益要因になる一方で、原価改善により200億円の増益効果を創出し、減益分を相殺する見通しを示した。

原価低減を進めつつ両社は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などへの投資は手を緩めない方針だ。日野自の小木曽社長は「先進技術やデジタル変革(DX)には意思をもって費用を投入する」と強調。いすゞの片山社長も「国が定める電動化(目標)に対して準備を進めている」と話す。

日刊工業新聞2021年11月26日

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