新型コロナ感染に関わるたんぱく質が発現する仕組みがわかった!新治療薬の開発へ
甲南大学フロンティアサイエンス学部の三好大輔教授と川内敬子准教授は、新型コロナウイルスの感染に関わるたんぱく質発現の仕組みを解明した。ヒトの細胞上にあり、ウイルス表面のスパイクたんぱく質を分解して感染を促す「TMPRSS2」たんぱく質の遺伝子に、スイッチとなる塩基配列を発見。2種類の構造を切り替えて発現を制御することが分かった。遺伝子スイッチを標的とする新たな新型コロナ治療薬の開発が期待できる。
TMPRSS2の遺伝子解析では塩基配列でグアニン(G)の多い部位のすぐ近くにシトシン(C)の多い部位があった。二つの部位が結合するとヘアピン状の構造になりTMPRSS2ができる。一方、結合しないとGの多い部位が4重らせん構造を形成し、たんぱく質の発現を妨げる。Cの多い部位がスイッチとしてGの多い部位の形状を制御し、たんぱく質を作るか決めることが分かった。
スイッチ部位は細胞内の環境に反応し、TMPRSS2の発現を調節する。スイッチを制御してたんぱく質の発現を抑制できれば新型コロナ感染が抑えられる。同様の仕組みはインフルエンザにも応用できる。
日刊工業新聞2021年11月25日