海藻のぬめり成分が新型コロナに高い阻害活性。「フコイダン」が抗ウイルス薬候補に

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フコイダンの硫酸化四糖を有機合成し、新型コロナのスパイクたんぱく質との結合性を評価した(慶大提供)

抗ウイルス薬候補・吸着マスク開発期待

慶応義塾大学の高橋大介准教授、戸嶋一敦教授らは海藻のぬめり成分である硫酸化多糖「フコイダン」の新型コロナウイルスへの高い阻害活性を確認した。大阪大学との共同研究。フコイダンの基本となる硫酸化四糖を系統的に有機合成し、新型コロナのスパイクたんぱく質との結合性を評価。同たんぱく質に結合しやすい硫酸化パターンが判明した。抗ウイルス薬の候補物質やウイルス吸着マスクの開発につながる。

天然のフコイダンは新型コロナの阻害活性が報告されているが、さまざまな構造の混合物であるため多糖のどの構造が効いているか分からなかった。そこで硫酸化の部位を精密に制御した四糖を12種類合成してスパイクたんぱく質の阻害活性を評価した。

その結果、九つの水酸基が硫酸化された構造で高い阻害活性が得られた。阻害定数は3マイクロモル濃度(マイクロは100万分の1)。たんぱく質の変異体へは6マイクロ―10マイクロモル濃度。血液凝固因子「FXa」への阻害作用がないことも確認した。

フコイダンには抗がん作用や抗菌作用などが報告されており、これらは副作用になり得る。天然のフコイダンをそのまま薬にすることは難しい。精密合成して分子構造が明らかな硫酸化四糖で抗ウイルス作用の部位を特定できると医薬品の候補物質になり得る。

また、ウイルス吸着マスクなど体内に摂取しない形態の予防策では、結合性や吸着性能を評価する基準が必要だった。硫酸化四糖と比べることでフコイダン材料の活性を定量的に示せる。

詳細は慶大が12月10日にオンラインで開く「第22回慶応科学技術展」(慶応テクノモール2021、日刊工業新聞社後援)で発表する。

日刊工業新聞2021年11月24日

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