トヨタ「超小型EV」事業化に動き出す、中国勢の躍進にどう対抗するか
トヨタ自動車が超小型電気自動車(EV)「C+pod(シーポッド)」の事業化に動きだす。社内技術者有志によるトヨタ技術会がシーポッドを用途などに合わせて改造するアイデアコンテストを実施。実用化を視野に活用機会を模索する。超小型EVは生活の足として期待される。ただ、軽自動車との差別化策が不透明で中国勢の躍進による価格競争の懸念もある。多様な用途提案を付加価値向上につなげる。
コンテストでは9台の改造シーポッドが披露された。水上走行できるようエンジンルームや車内を密閉構造にした車両は緊急車両を想定。ヤマハ発動機や旭化成といった社外の有志団体もゲスト参加しレジャー用途などを提案した。「実際の車両に近い完成度になった」(トヨタ技術会委員長の野々村潔モノづくり開発統括部長)。
製造法を革新した米テスラを意識し、シーポッドの骨格部品を一体成形して部品点数を削減する手法も披露された。こうしたアイデアで「街乗りだけでなく、産業用など用途が広がる可能性を感じる」(トヨタZEVファクトリーの豊島浩二副本部長)。
超小型EVは物流拠点から各家庭への「ラストワンマイル」配送や地方部の移動の足として期待される。一方、上汽通用五菱の「宏光MINI EV」など中国勢が40万―50万円という低価格で発売。軽商用バンでは佐川急便が中国製の大量導入を決めた。対するシーポッドの車両消費税込み価格は165万円から。2022年には一般向け販売も始まる。
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日刊工業新聞2021年11月19日