トヨタが方針決めた、ジェイテクトに駆動系部品を移管する狙い
トヨタ自動車は車の駆動エネルギーを伝達するドライブライン系部品の設計開発機能を、ジェイテクトに移管する方針を決めた。トヨタはモビリティーカンパニーへの変革を掲げ、電動化やソフトウエアといった次世代投資を加速している。一方で同分野の投資負担は重い。既存事業をグループ内で強みを持つ企業に集約して生産性や事業効率を高め、グループ全体で競争力を強化する。
対象製品や資産などは精査中だが、一部移管作業を始めた。プロペラシャフトや等速ジョイント、ディファレンシャルギア(デフ、差動装置)といったドライブラインシステム部品が対象となる見通し。グループ間の重複業務を解消すると同時に、ステアリングを強みとするジェイテクトに駆動系の設計機能を集約して一貫体制を構築し、統合システムの提案力強化を図る。
トヨタは主に三好工場(愛知県みよし市)で同事業を手がけているが、ジェイテクトも同様の製品を抱えており重複していた。移管先はこれらの部品を手がけるジェイテクトの田戸岬工場(同高浜市)や岡崎工場(同岡崎市)などになると見られる。一方でトヨタ三好工場の生産機能は維持する。
集約によるムダの解消や効率的な事業運営、両社の機能が融合することによる相乗効果の創出といった観点から判断し、段階的に進めていく方針だ。人員規模は最大で数百人に上る可能性がある。
トヨタは2018年ごろからデンソーに電子部品事業を移管するなどグループ各社が得意とする領域に事業を集約させる動きを強めている。ジェイテクトには20年にデフを手がける豊精密工業(愛知県瀬戸市)の全保有株式を譲渡するなど、ドライブライン関連機能の集約を進めてきた。またトヨタ三好工場でジェイテクトの製品を作るといった連携も深めている。
ジェイテクトはステアリングを含めたドライブラインシステムとして一貫提案する体制を整え、他社と差別化する。トヨタ以外からの受注強化にもつなげる。
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