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在籍型出向が8000人超える。製造業の受け入れが最も多いワケ

厚生労働省によると、在籍型出向を支援する産業雇用安定助成金の活用が制度開始から9カ月で累計8000人(労働者ベース)を超えた。製造業の受け入れが最も多く、半導体関連や電子部品などの生産拡大が要因の一つとみられる。厚労省は「士気を落とさず雇用を維持できる」(関係者)手段として引き続き活用を働きかけていく方針だ。

在籍型出向とはコロナ禍で社員が過剰となった企業に在籍したまま、人材を求める別の企業に期間限定で受け入れてもらう取り組み。出向者にとっては新たな仕事の経験による能力開発につながり、出向先にとっては職場活性化が期待できる。

全国の労働局、ハローワークが受理した出向計画届を厚労省が集計(10月15日現在)した。事業所数は出向元が812、出向先が1331。

中小企業から中小への出向が全体の37・9%、大企業から中小への出向が同21・6%と中小の受け皿が過半を占める。一方、中小から大企業が同13・8%、大企業から大企業は同25・3%となり、大企業の受け入れが4割弱となっている。

業種別でみると、最も多い出向元は、運輸業・郵便業で3435人。航空、鉄道、バスなどコロナ禍で業績が厳しい業界を中心の在籍型出向の活用が進んでいるとみられる。

出向先で最多は製造業で1720人。比較的に生産好調な業種が受け入れ先になっている可能性がある。製造業に次いでサービス業の1569人、運輸業・郵便業が1223人、卸売業、小売業が1109人と続く。

厚労省は産業雇用安定助成金の運用を2月に開始。当初3カ月間は月1000人ペースで推移しており、やや鈍化している。

日刊工業新聞2021年11月9日

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