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年功序列はもう終わり!きらぼし銀がスペシャリストを育成し組織の専門性向上へ

きらぼし銀行は4月、人事制度を改訂した。年功序列制度を止め、役割に応じた評価を行うとともに、スペシャリストを育成し組織全体の専門性を高める。2021年度を18年度の3行合併の効果が出始める年と位置付ける中、「時代の変化に対応していく」(吉田裕幸HR部長)ための基礎を固める。

銀行業務は多岐にわたるため、職務内容を詳細に決める一般的な「ジョブ型」ではなく、チームで職務を果たしたことを評価する独自の方式を展開する。新制度では、「やくわり(ジョブ)型」と名付けた評価軸と、専門性を強化するための人事異動サイクルを整えた。

同じグループのきらぼしコンサルティング(東京都港区)などでは、高い専門性を持つ外部人材を積極的に採用している。ここに、きらぼし銀の若手を出向させている。スペシャリストの隣で学び自身の適正を高めてもらうのが狙いで、グループ各社に出向した行員のほとんどは1―2年のサイクルできらぼし銀に戻る。

年齢が上がるにつれ特定業務に従事する傾向が強まるとはいえ、旧制度は30―40代まではゼネラリストになることに特化していた。「何でもできる支店長」になることが行員として一定のゴールだと捉えられていたためだが、新制度の下では専門性が高い支店・支店長を育てる。

また、昇級は入社年次と資格試験などに基づくポイント実績を反映していたが廃止した。上司との一対一の面談で決める「やくわり」と、それに基づく仕事の負荷の程度「グレード」により報酬が決まる。中川泰友HR部次長は「負荷を自分で決められるため、産休・育休をとる行員も安心して長く働けるのでは」と話す。

ほかにも雇用の上限年齢を65歳から70歳まで引き上げるなどしており、吉田HR部長はまずは「定着の1年にしたい」と意気込む。

日刊工業新聞2021年8月3日

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