「都市鉱山」由来ニッケルの生産倍増で400トン、冶金工が100%代替目指す

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冶金工の大江山製造所にあるニッケル製錬用のロータリーキルン。都市鉱山由来のリサイクル原料が使われる

日本冶金工業は「都市鉱山」のリサイクル原料を使うニッケル生産量を月400トンへと現状比倍増する方針だ。リサイクル原料はステンレス鋼向けに自社製錬するニッケルの4割強を占め、将来100%を目指す。大江山製造所(京都府宮津市)で2022年度までに保管施設や自動破砕機を整備。不純物除去技術も確立する。現状で原料の6割弱を担う輸入鉱石の調達リスクを回避する。循環型社会にも貢献する。

日本冶金工業はステンレス鋼の生産に不可欠なニッケルを大江山製造所で製錬する。都市鉱山からのリサイクル原料は高品位のニッケル成分を含み、01年に活用を開始。製錬されたニッケル中、リサイクル原料由来が4割強を占める。

リサイクル原料は約200種類。分別や保管、解析、処理に時間がかかり、設備投資で作業を効率化する。新たな保管施設は年内と22年に計2カ所整備する。いずれもテントタイプ。フレコンバッグで到着する粉末状や汚泥状などの原料を開封し、即作業可能にする。成分分析にあたり新たな自動破砕機を22年に導入する予定だ。

製錬されるニッケルの材料の6割弱はニューカレドニアから輸入した鉱石。取り出すニッケル成分はリサイクル原料より品位が高くない。リサイクル原料を増やせばロータリーキルン(回転式窯)での使用エネルギー、二酸化炭素(CO2)を抑えられるという。

製錬されたニッケルは、鉄と混ざったフェロニッケルの状態でステンレス鋼をつくる川崎製造所(川崎市川崎区)で使われる。ただ、併用される鉄スクラップなどとの間で量が調整される。スクラップの価格高騰が続けば、自社製造の原料の活用率を高めることになる。

いわゆる都市鉱山ではゴミとして廃棄される家電や携帯端末のコンデンサー、バッテリーなどにニッケル成分が含まれる。「原料の選択肢を広げながら脱炭素・循環型社会に役立ちたい」(久保田尚志社長)という。

日刊工業新聞2021年10月26日

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