SDGs浸透…金属資源の再利用が拡大している

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JX金属が今年4月に日立事業所(茨城県日立市)に採用したピッキングロボット

国連の持続可能な開発目標(SDGs)実現に向けて資源の循環利用の一翼を担う非鉄金属業界。持続可能な資源の循環利用には消費構造の変革や採掘技術の開発など多くの課題があるが、中でも金属資源の再利用は極めて大きな役割を果たす。2019年は非鉄金属業界にもSDGsを重視する動きが広がった。各社は培った技術やノウハウを生かし金属資源のリサイクルに力を注いでいる。

「わが社に供給する銅をすべてリサイクル品で供給してほしい」。三菱マテリアルに、あるメーカーからこんな要望が寄せられている。同社グループは都市鉱山(電子機器の廃棄板などのE―スクラップ)から銅や有価金属を回収するリサイクルの処理能力が世界最大規模に達する。

飯田修三菱マテリアル副社長は「単に顧客に製品を供給する動脈(製造)だけでなく、動脈と静脈(リサイクル)が一体となったモノづくりが重要になる。サステナブルな素材の供給が必要になっていく」と今後のメガトレンドを読む。廃棄物や環境問題について積極的に貢献する製品や技術が、これまで以上に求められている。

JX金属はIoT(モノのインターネット)と人工知能(AI)を活用した物理選別技術を開発した。ピッキングロボットがE―スクラップの銅線くずを、ソーター選別機がプラスチックを自動除去する。安田豊執行役員は「国内外リサイクラーとの連携ツールとしても展開したい」と意気込む。

電気自動車(EV)への対応では、20年代の事業化を視野に入れた車載用リチウムイオン電池(LIB)のリサイクル技術の競争が過熱している。住友金属鉱山が廃LIBから銅やニッケルに加えてコバルトも再資源化するプロセスを開発するなど、レアメタル(希少金属)のリサイクル技術の確立は各社の重点成長戦略となる。

資源の枯渇や先端素材に対するニーズで金属資源の需要は拡大する。非鉄金属各社の取り組みは、製造業におけるESG経営の観点からも、20年もさらに注目が高まりそうだ。(取材・山下絵梨)

日刊工業新聞2019年12月13日

キーワード
SDGs 非鉄金属

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