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風邪の原因ウィルスがぜんそくを悪化させる仕組みが明らかに

東京医科大学の柴田岳彦准教授らは、風邪の原因となるウイルスの一つである「RSウイルス」感染がぜんそくを悪化させる免疫学的な仕組みを発見した。ぜんそくモデルマウスを使ってRSウイルス感染によって誘導されるインターフェロンが分解酵素を多量に作り出す「マクロファージ」を引き寄せることを明らかにした。新しい治療薬の開発につながると期待される。

研究グループは比較対象となるタイプ、RSウイルス感染タイプ、ぜんそくタイプ、ぜんそくにさせた後にRSウイルスを感染させたタイプの4種類のモデルマウスを作製。さらにこれらを野生型と、ぜんそくを悪化させる分解酵素「MMP―12」遺伝子欠損マウスの2系統に分けて比較分析した。その結果、MMP―12は炎症性細胞「好中球」の過度の集積とぜんそくの悪化を誘導することが分かった。

次にMMP―12を作り出す細胞の特定を試みたところ、ぜんそくマウスのグループに多く存在するマクロファージがMMP―12を作り出すことが明らかになった。ぜんそく悪化グループの方がより多くのMMP―12を作り出すことも分かった。

ぜんそく悪化グループのマクロファージが多量に分解酵素を作り出す仕組みを調べた。RSウイルス感染によって誘導されるインタフェーロンが分解酵素を高い確率で発現することが示唆された。

MMP―12による好中球の過度の集積を促進する仕組みも調べ、MMP―12が好中球を誘引する因子や活性化因子の産生を促進させることが分かった。

日刊工業新聞2021年10月21日

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