ジャーナリスト・石川温が見たアップルイベント、コロナに打ち勝つテクノロジー随所に

変わるモノづくりのスタンス

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「人々の生活を豊かにする製品を提供し続けていく」とクックCEO(オンラインイベント公式動画より)

9月15日(米国時間)に開催された米アップルの新製品発表会。例年、このイベントでiPhoneの新製品が発表されるのだが、今年はコロナ禍ということもあり、全てが異例の発表会となった。

通常であれば、世界中からメディアや携帯電話会社幹部を本社内にある「スティーブ・ジョブズシアター」に一堂に集めていた。昨年、日本からはNTTドコモの吉澤和弘社長、KDDIの高橋誠社長、ソフトバンクの榛葉淳副社長が顔を揃えた。

しかし、今年はiPhoneの発表はなかった。「iPhone初の5G対応」という期待は高いが、コロナによる開発の遅れなのか、10月に発表される見込みとなっている。

また、今年はオンラインでの開催となった。冒頭、ティム・クックCEOは「全世界がCOVID-19による困難に立ち向かっている。リモートワークや在宅勤務、リモート飲み会など、人々の適応力に驚きを隠せない。さまざまな場面でアップル製品が人々をつなぎ、前進することを手助けしていることを嬉しく思う。今後もアップルはたゆまぬイノベーションで人々の生活を豊かにする製品を提供し続けていく」と約束した。

実際、コロナによってアップルのモノづくりのスタンスが変わりつつある。コロナに打ち勝つためにアップルが持つテクノロジーを生かす取り組みが出始めてきたのだ。

例えば、日本で1700万近いユーザーがいる接触確認アプリ「COCOA」のベースとなる技術はアップルとグーグルが提供している。日本のように独自のアプリを開発できない国であれば、iPhoneの標準機能で接触を確認することができる。

シニアにも「Apple Watch」を

また、Apple Watchの最新バージョンでは「手洗い」のサポート機能が盛り込まれた。Apple Watchが手を洗っている動きを感知すると、20秒間のカウントダウンをしてくれるというものだ。ついつい手短に終えてしまいがちの手洗いだが、 20秒間、きっちりと行うことで、コロナウィルスから守ってくれるというわけだ。

さらに注目なのが、今回発表された新製品「Apple Watch Series 6」だ。本体内に赤色光と赤外線を飛ばすセンサーを内蔵。手首の血管を照射して、その反射光によって、血中酸素濃度を測定できるようになったのだ。睡眠中や1日を通して、バックグラウンドで測定を続けることも可能だ。

アップルでは「医療での使用や医師との相談または診断を目的にしたものではなく、あくまで一般的なウェルネスとフィットネスを目的とした機能」としているが、様々な可能性を秘めているようだ。

アップルでは将来の医学的発見のために大学などと組んで調査を進めていくという。心拍数や血中酸素のデータからインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の初期症状を把握できないか、研究していくようだ。

また、喘息の症状を和らげたり心不全を防ぐ研究も開始したという。Apple Watchはすでに心拍数だけでなく心電図もとれるようになっている。また、突然、倒れた時には自動的に家族や医療機関に緊急連絡する機能も備えている。

実際、世界中にはApple Watchによって、命が救われたり、健康を取り戻した例が数多くあり、クックCEOの元には感謝を伝えるメールがひっきりなしに届いている。

アップルでは今回、Apple Watchの廉価版となる「Apple Watch SE」を発売する。また、親機となるiPhoneがなくても、Apple Watch単体で使える機能も導入し、離れて暮らす家族が、年配者の動向を見守れるようにする。

アップルとしては健康に気をつけたいシニア層にもApple Watchを普及させることで、スマートウォッチ市場で確固たる位置を築きたいようだ。

「Apple Watch Series 6」(アップル公式サイトより)
(文=ジャーナリスト・石川温)

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