タイで工作機械の生産能力を5割増やすシチズンマシナリーの狙い
シチズンマシナリー(長野県御代田町、中島圭一社長)は、タイで工作機械の生産能力を2022年に現在比5割増の月産350台に増強する。現工場(アユタヤ県=写真)の敷地内に新棟を建設し22年11月に稼働する。テスト加工機能などを備えたショールーム棟も新設する。好調が続く受注に対応するとともに、事業拡大に向けた安定供給体制を確立する。
新工場棟は延べ床面積4475平方メートル。建設後の工場全体の総延べ床面積は2万7488平方メートルとなる。総投資額は約6億円。同工場で現在手がける主軸台移動型コンピューター数値制御(CNC)自動旋盤「シンコムシリーズ」の低・中位機種を生産する。従業員を23年までに現在比70人増の約370人に増やす計画。既存棟でも生産効率化に向けてレイアウトを変える。
また工場棟の新設に先立ち、21年12月にショールーム専用棟を建設する。機械の展示台数を現在の2倍の13台とし、エンジニアも同2人増の13人体制にする。顧客が購入前のテスト加工をできるほか、加工実習やセミナーを実施する専用ルームも設け、東南アジア地域での拡販を図る。
タイ工場は同社初の海外生産拠点で01年に設立。日本や欧米、アジア向けにシンコムシリーズを供給している。現在までの塁計生産台数は約1万5000台で、22年の2万台超えを視野に入れる。
同社の自動旋盤は自動車や電機部品、医療関連など幅広い業種で需要が旺盛。今後も良好な受注環境が続く見通し。一方で現在のタイ工場はフル生産の状態で、生産能力の増強が課題となっていた。
日刊工業新聞2021年10月18日