【開催中】JIMTOF2020オンライン、リアルを超える各社の工夫に注目!
2020年の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)は、コロナ禍でオンライン開催を余儀なくされた。しかし、これを逆手にとる出展者も少なくない。「JIMTOF2020オンライン」と連動して自社のオンライン展示会も開き、リアルの展示会ではできないPRを試みる。新たなPR手法として目を引く取り組みもあり、コロナ収束後も一定の役割を果たしそうだ。(特別取材班)
工場再現、大型機も一挙公開
DMG森精機は同社初のオンライン自社展示会で、強く推進している5軸化・複合化、自動化、デジタル化をテーマとする。デジタルツイン技術で加工エリア内を確認できる機能なども披露し、製品を訴求している。
自動化システムは、リアル展では見せられない大型のシステムもそろえた。森雅彦社長は「3次元(3D)設計に基づいた考査とプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)データを入れた自動化システムを見てほしい」と訴える。
芝浦機械は仮想の工場を模した自社ウェブ展示場を開設中だ。門型マシニングセンター(MC)などの大型機や超精密加工機の特徴、加工事例などを動画で紹介する。門型MCなどの大型機械は分解しての輸送と、再度の組み立てに長期間を要する。リアルの展示会には持ち込めず、断片的な技術紹介が中心だった。坂元繁友社長は「(物理的な)限界がなくなり、必要な機械を必要な環境で見せられる」とオンライン展の優位性を捉える。オークマも展示の一押しは新開発の門型MCだ。
ノウハウ生かし開催活発に
ジェイテクトは自社オンライン展でJIMTOFとは全く別の展示をする。工作機械と軸受の両部門、工作機械や工具、熱処理装置、要素部品などグループ全体の技術と製品を紹介し、グループの総合力をアピールする。
リアル展では業界別の区分けもあり、同一小間での展示が難しかった。「スペースの制約を受けないバーチャル展ならでは」と加藤伸仁専務。05年に光洋精工と豊田工機が合併した同社がいまだ課題とする相乗効果を模索する。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は今回のJIMTOFを、21年2月に予定する国内初の自社ウェブ展の土台作りと捉える。中島圭一社長は「JIMTOFでのコンテンツ制作や訴求ポイントの実績を生かし、閉幕後も常時閲覧できる環境を自由に構築できる」と話す。
こうした中、リアルの自社展を開く動きもある。高松機械工業は24―26日に石川県白山市の本社工場で開催を予定する。自社の精密旋盤や提携企業のMCなど16機種以上を展示し「自社展では過去最多」(高松宗一郎社長)の規模となる。リアル展の実施・参加を業界関係者が熱望しているのも事実だ。
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