拡大する「グリーンボンド発行」、1兆2000億円超で過去最高に
環境事業に資金を使うことを目的とした債券「グリーンボンド(環境債)」の2021年の国内企業の発行額が10月中に1兆2000億円を超え、前年実績を上回って過去最高を更新することが確実となった。NTTが国内最大となる3000億円の発行を予定しているため。温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素達成に向け、環境分野への資金の流れが加速してきた。
グリーンボンドは環境問題を解決する資金の調達手段。発行した自治体や企業は省エネルギー設備への更新や再生可能エネルギー事業に資金を充てる。ESG(環境・社会・企業統治)投融資の“E”として分かりやすく、生命保険などの機関投資家がグリーンボンドを購入している。
環境省の集計によると9月24日までに21年の国内企業の発行総額が9582億円となった。NTTは10月中にNTTファイナンスが3000億円を起債し、風力発電事業などに充てると表明している。単純に合計すると発行総額は1兆2000億円以上となり、前年実績の1兆170億円を大きく上回る。
日本でグリーンボンドの発行が本格化した18年、金融機関や東京都など34件の起債があり、総額は5363億円だった。19年には日本電産が1000億円、20年にはセイコーエプソンが700億円を発行。また20年に初めて1兆円を突破した。21年にはNTT以外にもZホールディングスが200億円、東京電力リニューアブルパワーが300億円を発行するなど、各業界に発行が広がった。
環境に限らず、社会課題を解決する資金調達を目的とした債券「サステナビリティーボンド」も盛り上がっている。9月24日時点の21年の国内発行額は8393億円。トヨタ自動車が国内最大となる1300億円を起債したこともあり、前年の総額6005億円を上回った。
世界の21年のグリーンボンド発行総額も9月時点で前年を超え、3237億ドルとなっている。脱炭素実現には巨額投資が必要で、世界的にESG関連の資金争奪が起きている。日本政府も資金を呼び込む環境整備を進めており、22年4月には東京証券取引所の最上位市場の上場企業に対し、気候変動対策を開示させる方針だ。
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