総合商社は“男社会”の縮図!?業界イメージを覆す各社のあの手この手
大手総合商社が女性社員の育成に本腰を入れ始めた。女性が少なく「男社会」の縮図とも指摘される業界だが、持続的な成長には人材の多様化が不可欠と判断。新卒採用を拡大したり、幹部候補となる中堅社員の育成を強化したりするなど、業界イメージを覆す「女性活躍」を目指す。
伊藤忠商事は1日、「女性活躍推進委員会」を発足させた。委員長は、厚生労働事務次官を務めた社外取締役の村木厚子氏。取締役会の諮問機関として、女性の育成策を経営陣に直接提言する。
同社は、業界では先駆けて女性の採用拡大などに取り組んできた。ただ、幹部人材はいまだ少ないなど「活躍してもらう仕組みが十分ではない」(小林文彦副社長)。委員会では、数値目標や新制度の導入ではなく、育児など、個別の事情に応じた柔軟な支援策を検討するという。
大手各社の総合職に占める女性の割合は、いずれも1割前後にとどまる。しかし、丸紅の柿木真澄社長は「環境変化に対応するには、同質的な集団からの脱却が不可欠」と指摘。2021年1月、総合職の新卒採用に占める女性の割合を現在の2―3割から、3年以内に最大5割に引き上げると表明した。
当初は「逆差別」との批判もあったが、社長自ら多様な人材の必要性を説明することで理解を得たという。人事担当者は「今は女性の応募自体が少ない。女性も商社に興味を持ってほしい」と話す。
三井物産は女性のリーダー候補者を対象に、組織運営についての講義や経営幹部との対話を実施するイベントを19年から毎年開催。三菱商事は21年4月、執行役員らがマンツーマンで管理職候補者の指導役になるメンター制度を設けた。
資源や食料品といったモノの仲介業から、成長分野に人材も派遣する投資事業に業容を拡大して「商社不要論」をはね返してきた大手各社。伊藤忠の村木氏は「女性が責任あるポストに就いて成長できれば、さらにパワーアップできる」と指摘する。