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モーター納期は「1年後」、自動化需要の急増による品薄で商談消失も

モーターやコネクターなど電動機と周辺部品の品薄感が鮮明だ。調達力が弱い中小企業に影響が出ている。通常1カ月程度のモーターの納期が1年後というケースもある。コロナ禍で生産の自動化、省人化ニーズが一層広がり、産業機械向けなどモーター需要が急増。需給逼迫(ひっぱく)に加え、コンテナ不足による流通の混乱が重なり、品薄感に拍車をかけている。

サーボモーターの納期は通常は1週間から長くても1カ月程度。それが「10カ月に延びている。ほぼ1年後。商機を逃してしまう」とスピンドルメーカー社長は不安な表情を浮かべる。同社はサーボモーター不足で商談が複数消失したという。「部品が一つ足りないだけで完成しないのが機械設備。どうにかならないか」と嘆く。

大手商社系列の機械商社の担当者も「装置の納期が従来の3カ月から6カ月程度に延びている。ここ2カ月は影響が強くなっているようだ」と話す。東京都内のモーター専業メーカー関係者は、半導体など電子部品の調達難で「新製品を開発しても部品調達のめどが立たない。発売を先延ばしにしている」と吐露する。

モーターメーカーも増産を急ぐ構えだが、状況改善に向けた大きな進展はなさそう。

神奈川県内のロボットシステムインテグレーター(SIer)の幹部はモーターやコネクターなどの納期について「数カ月前まで、納期は2―3カ月と言われていたが、足元では2倍の6カ月。さらに延びることを恐れている」という。

都内の大手機械メーカー幹部は「10月以降、モーターやコネクター、ケーブルが通常ルートでは入手できない見通し」という。同社は一般市場に流通している製品の購入でまかなう方針だが、安定入手先とはいえず「一寸先は闇。受注残は増えるが、製品はなかなか出荷できない」と不安を感じている。

工業用間接資材の通信販売を手がけるモノタロウにはモーターやコネクターの注文が殺到。6月以降、この傾向が顕著で「売上高は前年同期比40%増で推移している」(IR・広報グループ)。納期は「通常3日ほどで取り寄せられるが、1カ月程度」(同)で、電動機や制御関連機器を中心に欠品も生じている。


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日刊工業新聞2021年10月7日

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