「脱炭素」の投資拡大を目指すトヨタ系部品メーカーの深謀遠慮
トヨタ自動車系列の中堅・中小部品メーカーが二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けた投資を拡大する。マルダイスプリング(名古屋市中区、木村好裕社長)は、11月に全社の使用電力を再生可能エネルギーに切り替える。光生アルミニューム工業(愛知県豊田市、松田冬樹社長)は、2021年末までに主力工場で高効率炉を導入するなど炉全体で3%程度のCO2削減を目指す。トヨタが主要取引先に示すCO2削減目標に合わせ、対策強化の動きが加速する。
自動車の内装部品などのバネ製品を手がけるマルダイスプリングは、需要家に代わって電気事業者の選定や電力切り替えに必要な申請業務、交渉などを手がけるエネリンク(名古屋市中区、後藤真介社長)のサービスを活用して再エネを導入する。同社はサービスを利用する複数の需要家の使用電力をまとめて電気事業者と交渉するため、企業が単独で行うよりも価格交渉などがしやすい。
マルダイは電気事業者と電力供給契約を結んで順次切り替え作業を行い、11月には切り替えが完了する計画だ。切り替えによるコスト増はないという。再エネ導入により、全社のCO2排出量を従来比で96・1%削減できるという。
アルミホイールなどを手がける光生アルミは主力拠点の福井製作所(福井市)で年末をめどに、溶かしたアルミニウムを保持する高効率型電気保持炉を2台導入する。投資額は約3000万円で現状に比べエネルギー効率を30%向上する。本社の生産ラインにも既存設備よりもエネルギー効率の高い省エネ型ガス炉を導入した。今後も更新などのタイミングに合わせて、効率化設備への入れ替えを進める方針だ。
トヨタは主要取引先に対し21年の環境目標として従来よりも高い3%のCO2削減を提示している。さらに部品各社は今後、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け規制が強まり、CO2排出量の低減が取引要件になると予想する。環境対策が不可欠になることから、2社以外でも自社での再エネ製造設備の設置や省エネ設備への切り替えなどを検討する部品メーカーは増えている。