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リース取扱高が38年ぶり低水準、コロナ影響響く

リース事業協会(リース協)がまとめた8月のリース取扱高は、前年同月比14・8%減の2685億円だった。8月としては、1983年以来38年ぶりの低水準だった。新型コロナウイルス感染症の流行で同16・4%減だった20年8月実績をさらに下回った。減少は9カ月連続。新型コロナ感染者急増により、設備投資を見合わせる企業が多かった。リース各社も営業を控えた。

全9機種中7機種が前年同月を下回った。主力の情報通信機器は同3・2%減の823億円だった。一定の目安である1000億円に届かず、「極めて悪い」(リース協)状態。内訳では、ソフトウエア、通信機器および関連装置が不振だった。

機械系も落ち込んだ。工作機械は同48・6%減の53億円。政府の補助金事業の対象が購入中心である影響を受けた。

商業およびサービス業用機器は同13・6%減の359億円。飲食業向けが低調だった。

事務用機器は同29・3%減の208億円。ウェブ会議用の需要が一巡したとみられる。

数少ないプラスだった輸送用機器(同6・5%増)は、自動車の更新需要が安定しているのが寄与した。

4―8月累計は前年同期比7・3%減となった。リース協は21年度の見通しについて、「20年度実績を上回るのは難しくなった」と分析する。足元では新型コロナ感染者は減少傾向だが、冬季の感染再拡大が予想される。感染が収束した場合も、設備投資需要が新型コロナ流行以前に回復するか不透明だ。

日刊工業新聞2021年10月5日

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