機能性表示食品で初の試み。花王が「ポリフェノール」外販にカジを切った狙い

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脂肪代謝にかかわる研究は1990年代から(花王すみだ事業場内の研究所)

花王は機能性表示食品素材「ポリフェノール」の外販にカジを切った。ダイドードリンコへの提供を第1弾に大手食品メーカーなど複数社と協業に向けた準備を進めている。内臓脂肪を減らす効果をうたう飲料として先駆的な「ヘルシア」に使う素材だが、自前の活用には限界もある。そこで社外に“仲間”を募り、健康増進に貢献するとともに新たな収益源に育てる戦略だ。(縄岡正英)

「30年以上続けてきた研究資産を有効活用したい」。河南洋史ケミカル事業部門油脂事業部長は素材外販の狙いをこう語る。

花王がダイドードリンコのエナジードリンク向けに提供を始めたのは茶カテキン。今後同じポリフェノールのコーヒー豆由来クロロゲン酸類と合わせた二つを対象に外販する。

花王の「ヘルシア緑茶」

素材だけではない。機能性に関する研究成果や製造・品質管理の知見も惜しみなく提供。機能性表示食品としての届け出も支援するほか、希望があれば、「ヘルシア」の商標も使ってもらう。

同社にとってシャンプー、洗剤で実績ある素材外販だが、機能性表示食品では初めて。食品素材の外販は他社にも例はあるが、包括的な支援は異例。そこにはこの素材の特徴と扱いの難しさがある。

体格指数(BMI)が高めの人の内臓脂肪を減らす機能のある茶カテキン。だが、苦味があるため、加味するには工夫が必要となる。機能性表示食品としての届け出も容易ではない。ダイドードリンコとの協業では開発段階からサポート。花王の営業と研究がタッグを組んで製品化を支えた。物流のほかブランドの使用許諾に関する契約体制も整えた。

矢野経済研究所が1月にまとめた機能性表示食品の市場規模は、メーカー出荷金額ベースで2020年度は約2843億円(前年度比11・8%増)の見込み。コロナ禍で健康を見直す機運もあって市場は拡大基調にある。03年に特定保健用食品として初めて体脂肪を減らすとうたった「ヘルシア緑茶」を商品化し、先駆的な地位を築いてきた花王にとっては好機。ただ、自前の商品展開には限界もある。技術や知見の収益化にも課題を残していた。

そこで健康食品の需要増をにらみ、「特徴ある商品や技術を持った企業と協業し、知見と素材を提供すれば肥満問題の解決で可能性は広がる」(河南事業部長)と考えた。

協業の対象は食品全般。脂肪を減らす効果が出るように1食当たり540ミリグラムのポリフェノールを使い、自社で扱う茶やスポーツ飲料以外なら商品は問わない。「想像もしていない分野で手を組みたい」(同)という。

花王は21年度から5カ年の中期経営計画「K25」で「協業成果の倍増」を目標に掲げており、素材の外販はその一環。自社製品への活用と、外販の“両輪”を回す戦略だ。

日刊工業新聞2021年9月30日

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花王 ヘルシア

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