アルミニウム表面を黒色と銅色にして抗菌効果もたらす、アルマイト処理技術がスゴイ
植田アルマイト工業が開発
植田アルマイト工業(堺市東区、植田信夫社長)は、アルミニウム表面を黒色と銅色にして抗菌効果をもたらすアルマイト(陽極酸化皮膜)処理技術を開発した。従来の抗菌特性を付与するアルマイトでは、表面色が金色になるため、適用分野が限られていた。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、多くの人の手に触れる場所で、接触感染を防ぐための抗菌加工需要が高まっており、鉄道車両や建材などへの提案を本格化させる。
抗菌効果を持つアルマイト処理技術は「ユニマイト」の名称で展開。加工時に使う金属に由来して金色に発色するため、公共空間の抗菌目的での採用は進まず、必要に応じて黒色に染めることも提案していた。プロセスの改良などを行い、新たに黒色と銅色を発色できるようになった。
ユニマイトはもともと電気導電性を特徴とした硬質アルマイト処理技術。膜厚によって電気抵抗値が変化し、通常の硬質アルマイトよりも抵抗値を2―4割下げることが可能。半導体・電子部品製造装置の静電気対策で、広く採用されている。
抗菌性を生かして、食品製造装置や剣道具“面”の格子部分にも使われる。皮膜を形成するため、表面に薬液を塗る抗菌コーティングよりも耐久性が高く、染料を使わないことから高耐熱・高耐候性といった特色がある。
植田アルマイト工業によると、日本工業規格(JIS)に基づく抗菌性試験で、試験菌液の接種から6時間後には生菌が検出されなかったという。アルマイト処理による抗菌効果などアルミへの機能付加を通じて、アルミ製品の用途拡大につなげたい考えだ。
日刊工業新聞2021年9月29日