ニュースイッチ

MS&ADHDがグループ生損保各社のデータ共同活用で描く構想

事業創出へ新組織

MS&ADホールディングスは10月、グループ一体でのビジネスを推進する組織を新設する。2022年度をめどにグループ各社が保有するデータを共同活用できるプラットフォーム(基盤)の開発に着手。グループの生損保各社が持つデータを連携させることで新規ビジネスの創出を構想するほか、地方創生に向けた取り組みなどを強化する構えだ。

10月に「デジタルイノベーション部」を設置する。同部が旗振り役となりグループ各社が保有するデータを共同活用しやすい形式に統一化できる基盤を整備。国内では損保3社・生保2社を擁する保険持ち株会社の強みを生かす。例えば損保事業で得られる高齢者の運転挙動と、生保事業で得られる介護保険の支払い実績などを連動させ、認知症の早期発見・重症化予防といったサービスなどを検討する。

地方創生の観点では高齢者の自家用車での移動データを分析。運転免許を返納した高齢者向けに、自動運転車両などを走らせる実証実験などを実施する際、多くの住人が参加して効果検証しやすい走行ルートの策定などにつなげることが可能とみる。グループ各社が単独で実施する場合に比べ、データの絶対量が増えることで精緻かつ信頼性が高い状態でビジネスに応用できる。

またコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などを通じた投資実績が増える中、「グローバル事業開発部」も同時に新設する。事業投資に関するグループ各社の情報連携を密にすることで、重複するような投資案件を精査し、無駄のない事業投資を推進する考え。両部で合計30人程度の体制とする。

日刊工業新聞2021年9月29日

編集部のおすすめ