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特許庁が解説動画を公開。「IPランドスケープ」とは?

特許庁は特許などの知的財産を企業の経営戦略に役立てる手法「IPランドスケープ(IPL)」の基礎を理解するための解説動画を公開した。国内企業にIPLが浸透していない現状を踏まえ、IPLの“教科書”として、専門家によるセミナー形式の動画を作成。工業所有権情報・研修館のホームページで動画を閲覧できる。新規事業などの企業戦略に知財を生かす取り組みを後押しする。

特許庁はシクロ・ハイジア(東京都港区)の小林誠最高経営責任者(CEO)に依頼し、セミナー形式によるIPLの解説動画を作成し、公開した。さらにIPLに関するセミナーをオンライン形式で10月下旬に配信する予定だ。

IPLとは企業が目指す目標や事業に対し、市場やビジネスの公開情報や社内情報から仮説を立て、知財情報の分析から現状を俯瞰し将来予測を“見える化”し、経営者の意思決定などに生かす試みを指す。例えば「コロナ禍で企業の今後の経営をどうするか」という経営上の課題に対し、実現したい目標から現在のやるべきことを逆算する「バックキャスト」思考で、自社の特許の活用だけでなく他社が持つ特許の買い取りなどを含めた経営戦略に生かす。

こうした取り組みは海外では実施されているが、国内企業での浸透度は低い。3月に特許庁がまとめた知財担当者向けアンケートでは回答した1500者のうちの8割がIPLの「言葉を知っている」と答えたものの、「理解している」「必要」との回答が3割。さらに「十分に実施している」と回答したのは全体のわずか1割だった。民間からは「IPLの言葉は知っているが、何をやっていいか分からない」と企業の知財担当者からの声が挙がっていた。

日刊工業新聞2021年9月27日

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