特許料が2022年度にも引き上げに。その理由とは?
特許庁は特許権の取得・維持に必要な料金(特許料)を全体的に引き上げる。現在、権利の存続期間に応じて四つの料金テーブルが存在するが、5―6月にも有識者会議を発足し全面的な改定を議論する。IoT(モノのインターネット)などIT分野は技術革新が激しく、これらの特許権の入れ替わりも早いことから、実態に即して見直す。今秋にも政令を改正し2022年度の施行を目指す。
特許料は存続期間1―3年、同4―6年、同7―9年、同10―20年の四つの区分で料金テーブルが存在する。現行の毎年の特許料は、同1―3年は請求項数に200円を乗じ2100円を加えた額で、同4―6年は請求項数に500円を乗じ6400円を加えた額となっている。
これまで特許庁は存続期間6年程度までの特許料を低く抑えることで、長期の特許権活用を促してきた。ただ近年は技術革新のスピードが速く、短い期間で特許を活用して投資回収する事例が増えている。また08年から特許料の引き下げを繰り返しており、欧米の特許当局に比べて低廉な水準で推移する。こうした情勢を踏まえ、四つのテーブルを引き上げる方針だ。有識者の間では、特に1―3年と4―6年の特許料を引き上げた方が良いとの声が出ている。
政府は3月、料金改定などを盛り込んだ「特許法等の一部を改正する法律案」(特許法改正案)を閣議決定しており、国際特許(PCT)や商標などの料金体系についても見直しを検討する。これにより特許特別会計の持続可能な運営を実現し、産業界の知的財産戦略を後押しする。
日刊工業新聞2021年4月16日