上場企業など2700社の人権対策を調査。経産省が初実施で法整備検討へ
経済産業省は、上場企業など約2700社を対象に人権問題への対応状況を把握する初の調査を実施している。サプライチェーン(供給網)での強制労働が国際問題化しており、対応が不十分と見なされれば日本製は海外市場から締め出され企業の競争力低下が避けられない。同省は調査結果を受け、法整備の是非を検討する。
調査対象は東証1部、2部に上場する全企業約2600社。非上場では繊維企業などを加えた。原材料の調達先を含め供給網全体で人権侵害が生じないよう講じている対策や、予防策を進める上での課題などを聞き取る。9月末までに調査を終え、年内に結果をまとめる。
強制労働などを排除し、供給網での人権侵害リスクを予防するため、対策実施と情報開示を義務付ける「人権デューデリジェンス法」を制定する動きが欧米を中心に広がっている。日本は先進7カ国(G7)で法規制の準備が進んでいない唯一の国で、取引や投資などで支障が生じる恐れがある。企業側には「法整備を求める声がある」(経産省幹部)という。
日刊工業新聞2021年9月21日