成長のカギは“衛生製品”。工夫を凝らす素材各社の開発戦略

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衛生意識の高まりに対応する(住友ベークライトの「サンロイドペットエース」)

新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、素材各社が衛生意識の高まりに応えた製品開発に力を入れている。住友ベークライトは既存製品に抗ウイルス機能を持たせ、東洋インキSCホールディングス(HD)は消毒液耐性を持ち、溶解しにくいインクを開発。コロナ禍に自社の技術を適応させ、工夫を凝らした製品展開が、ニューノーマル(新常態)での成長のカギを握る。(前田健斗)

ブランド力向上

住友ベークライトは既存の製品に抗ウイルス成分を練り込むことで、新たな需要を取り込む。同社のPETG樹脂シート「サンロイドペットエース」は加工しやすく、耐衝撃性に優れるため、工場の機械のカバーなどで使われてきた。一方、飛沫(ひまつ)防止パネルなど感染対策製品への用途拡大を狙い、抗ウイルス性を持つラインアップを追加。活用の幅を広げ、ブランド力の向上に弾みを付ける。

環境へ配慮

新型コロナ感染対策のため、家庭では購入した食品の包装をエタノールで消毒する機会が増えている。その一方、包装材表面のインキ塗膜が消毒液で溶け、手などにインクが付着することも懸念されている。そこで、東洋インキSCHDは独自の樹脂設計技術を応用し、強固な塗膜を持たせた表刷り用グラビアインキ「レアル NEX BO S3シリーズ」を投入。消毒液でインクが落ちるリスクを抑えた。またバイオマス原材料を10%以上配合しており「性能と環境への配慮を両立した」(同社)という。

年度内にも投入

DICは衛生意識の高まりから無機系抗ウイルス・抗菌剤「ウィルミッシュ」を開発した。これを既存の3Dプリンター向け熱可塑性プラスチック材料に添加し、抗ウイルス・抗菌性を持たせる。フェースシールドやマスクなど医療や衛生用途での活用を見込み、年度内にも市場に投入する計画だ。

今後も、こうしたコロナ禍で生まれた新たなニーズに対応する動きが続きそうだ。

日刊工業新聞2021年9月10日

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