トイレの不安払拭、住設各社が新型コロナ感染対策で工夫
新型コロナウイルス感染症の流行が長引く中、トイレ関連メーカーがコロナ対策を進めている。LIXILは6月発売の新製品で、トイレのフタが閉まった後に自動洗浄する機能を追加。TOTOは便器が床から離れて掃除が楽な壁掛けトイレを発売した。三和シヤッター工業は、トイレブースに抗ウイルス仕様を追加した。根拠は定かではないが、トイレがコロナの感染源とみる消費者もおり、各社とも製品の工夫でユーザーの不安払拭(ふっしょく)に努める。(大城麻木乃)
LIXILは通常、用をたして立ち上がった際に自動洗浄するところ、フタが閉まってから洗浄する機能を追加した。「コロナ禍で便のフタが開いたまま便器を洗浄することに抵抗があるとの声があった」(トイレ開発担当者)という。また温水洗浄便座の使用後のノズル洗浄に、銀イオン水で洗浄する「ノズル除菌」を新たに搭載した。単に洗い流すだけでなく、「銀イオンの力で除菌し、菌の繁殖を防ぐ」(同)。
TOTOは正面から見ると便座が浮いて見える住宅用の壁掛けトイレを発売した。給水管やコード類をコンパクトに隠して収め、便器は床から離して床掃除が簡単にできる。コロナ禍で在宅時間が増え、家でトイレを使う頻度が高まる中、掃除をしやすくすることで消費者の衛生意識の高まりに応える。
三和シヤッター工業は、ドアなどの表面材や取っ手などの直接手に触れやすい部分に抗ウイルス機能を追加したトイレブースを発売した。客観性を持たせるため、抗菌製品技術協議会(SIAA、東京都渋谷区)の「抗ウイルスSIAA」の認証を取得した。同社によると、トイレブースでは業界初という。コロナ禍で「不特定多数の人が触れる共用部に抗ウイルス機能を付けた製品ニーズは高い」(同社)とみている。
科学的な根拠ははっきりしていないが、トイレの洗浄水の飛散やドアノブからのコロナ感染を気にする人もおり、各社とも対応に汗をかく。