景気動向「製造」が3か月ぶりに悪化した理由
帝国データバンク(TDB)がまとめた8月の景気動向調査(全国)は、景気DIが前月比1・5ポイント減の39・2となり、3カ月ぶりに悪化した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の延長・拡大による人流抑制で、個人消費が落ち込んだ。製造業は原材料不足が響いた。
景気DIは50を境に「良い」か「悪い」か判断する。地域別は、全10地域が3カ月ぶりに悪化した。九州は豪雨災害の影響で、下落幅が同3・1ポイント減と全10地域で最大。企業規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全てが3カ月ぶりに悪化した。
業界別は「その他」以外の9業界が悪化した。「サービス」は同2・4ポイント減の39・1。「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」など個人消費関連が悪化した。
「小売」は同2・7ポイント減の32・7で、業界別で最低。コンビニエンスストアやスーパーなどの「各種商品小売」が同8・3ポイント減の27・3で、落ち込みが目立った。
「製造」は同1・2ポイント減の41・5で、3カ月ぶりに悪化。半導体不足による自動車大手の減産で、「輸送用機械・器具製造」は同2・4ポイント減の48・2。ほぼ全ての業種が落ち込む中、「機械製造」は同0・7ポイント増の46・6。半導体製造装置が伸びた。14カ月連続の改善となる。
TDBは「ここから一段と落ちるとは見ていない」として、悪化は一時的とする。9月は同0・1ポイント増の39・3と予想する。11月には7月の水準に戻るなど緩やかな回復を見通す。
日刊工業新聞2021年9月6日