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安川電機がインバーター5割増産のワケ

安川電機がインバーター5割増産のワケ

行橋事業所内のインバーター工場

安川電機はインバーターを増産する。2022年2月期の生産台数が前期比5割増の200万台となる見通し。景気の持ち直しを受け原油価格が上昇する中、石油・ガス掘削設備向けインバーターの需要が急回復。中国におけるインフラ整備用のクレーンやコンプレッサー向けも好調だ。約6割を生産する行橋事業所(福岡県行橋市)の生産効率を高め、需要増に対応する。

インバーターの現在の月産台数は17万台。21年3―5月期の時点で、それまでの月産13万台から同15万台に引き上げ、さらに2万台分増やした。足元の受注台数は前年同時期に比べて実需ベースで3割ほど伸びている。

生産効率化に向け、安川電機独自の自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」をインバーター事業でも採用。同コンセプトで先行するサーボモーターなどの製造拠点「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市)の経験を生かし、行橋事業所の生産も最適化する。

行橋事業所で1直勤務(8時間)で従来比100台増の550台のインバーターが生産可能な新ラインの試験運用を始めた。既存ラインは決まった工程通りに生産していたが、新ラインは生産後に課題点をフィードバックして即座に反映。精度のバラつきを抑え不良率を低減する。23年2月期にも本格稼働する。

主力製品であるロボットをさまざまな工程で導入。基板のマスキングを自動化する双腕ロボを1台追加し、計3台体制にする。基板の内製化率も高める。

安川電機は21年1月にインバーター累積出荷台数が3000万台を突破。省エネ機運の高まりを受け、エレベーターや空調システム、工場自動化(FA)などの分野でインバーターの需要が広がる。


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日刊工業新聞2021年8月25日

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